HOW TO DRAW

家具図面の書き方

描く前に決めることが分かれば、家具図面は迷わず描ける。

このページでは、収納・カウンター・店舗什器などの家具図面(製作図・施工図)の書き方を、実務で描く順番に沿って解説します。家具図面を描き始めたばかりのCADオペレーターの方、施工管理で家具図をチェックする立場になった方、設計事務所で造作家具の図面を任された方を想定しています。

家具図面の書き方は、製図のルールを覚えるだけでは身につきません。「何を先に決めるか」「どこで切って描くか」「寸法をどの順に入れるか」といった段取りが分かると、図面は一気に描きやすくなります。図面制作会社として家具図面を描き続けてきた当社のやり方を、そのままの順番でお伝えします。

このページで分かること:描き始める前の準備/図面の構成と並べ方/縮尺と線の使い分け/板の構成と扉の納まりの決め方/平面図・正面図・断面図・詳細図の描き方/寸法の入れ方/材料・金物・取付の書き方/Jw_cadで描くときのコツ/提出前のチェックリスト

家具図面は「つくる人」と「取り付ける人」に向けて描く

書き方の前に、家具図面がだれに向けた図面かをはっきりさせておきます。設計事務所が描く設計図(意匠図)は、家具の形・大きさ・仕上げの考え方を決めるための図面です。これに対して家具図面は、工場で板を切って組み立てる人と、現場で据え付ける人が、その図面だけを見て作業できるように描く図面です。

そのため、家具図面には次のような情報が必要になります。

見た目がきれいな図面でも、ここが抜けていると工場や現場から質問が返ってきて、最悪の場合は作り直しになります。「この図面だけで、迷わずにつくれるか・取り付けられるか」が、家具図面の書き方で最後まで持ち続ける判断基準です。家具図面そのものの役割や、設計図との違いは家具図面の作成(製作図・施工図)のページで詳しく解説しています。

描き始める前に集める資料と確認すること

家具図面は、いきなりCADを開いて描き始めると、途中で何度も手が止まります。最初に資料を集め、分からないことを洗い出しておくのが、結果的にいちばん早い描き方です。

集める資料

資料そこから読み取ること
平面図・平面詳細図家具の位置、壁の仕上げ面、柱・窓・建具の位置、通り芯からの寸法
展開図家具の高さ、天井高さ、壁面の仕上げ、コンセント・スイッチの位置
天井伏図照明・点検口・換気口・スプリンクラーの位置(背の高い家具・吊戸棚で特に重要)
家具の設計図(意匠図)デザイン、主要寸法、仕上げ材の指定、扉の割付の考え方
仕上表・特記仕様書指定の化粧板・塗装の色番、防火・ホルムアルデヒド等級などの条件
電気・設備図配線・配管の経路、器具の位置、家具に組み込む機器
メーカー資料組み込む機器(冷蔵庫・食洗機・レジ・モニターなど)の外形と必要なすき間、金物のカタログ
現場の実測・写真改修工事では、実際の壁の位置・傾き、既存の下地、搬入経路の寸法

描く前に確認しておくこと

最後の「食い違い」は、資料を読み込む段階で見つけてメモしておき、まとめて設計者に質問します(質疑)。描きながら一つずつ聞くより、最初にまとめて聞いたほうが回答も早く、図面の手戻りも少なくなります。

図面の構成と図の並べ方

家具図面は、1台の家具を複数の方向から見た図と、切断した図、拡大した図を組み合わせて表します。基本の構成は次のとおりです。

図の種類何を表すか
キープラン(位置図)建物のどこに置く家具かを、小さな平面図で示す
平面図家具を上から見た形。幅・奥行き、壁との関係、扉の開き
正面図(立面図)家具を正面から見た形。扉・引出しの割付、取手の位置、高さ方向の寸法
側面図家具を横から見た形。奥行き方向の段差や、天板の出
断面図家具を切って中を見せた図。板の構成、棚の位置、内部の有効寸法
部分詳細図納まりの要所を大きな縮尺で拡大した図。小口、扉と側板の取合い、壁際・天井際
材料表・金物表部位ごとの材料・仕上げと、金物の品番・数量
家具図面1枚の中での図の並べ方の例 平面図 正面図 側面図 断面図 部分詳細図 表題欄 材料表・金物表・特記
A3の図面1枚に1台の家具をまとめる場合の並べ方の例。正面図の上に平面図、右に側面図を置き、位置と高さをそろえます。

並べ方の基本は、正面図を中心に、その上に平面図、右に側面図を置く形です(第三角法の並び)。平面図と正面図の幅、正面図と側面図の高さをそろえて配置すると、読む人が図と図を目で行き来しやすくなり、描く側も投影線で形を拾えるので描き間違いが減ります。

断面図と部分詳細図は空いている場所に置き、どこで切った図かを切断線と記号(A-A断面、①詳細など)で必ず結び付けます。表題欄には、工事名・家具番号と名称・図面名・縮尺・図番・日付・作成者・改訂記号を入れます。1台の家具で収まらない場合は、「平面・正面・側面」の図面と「断面・詳細」の図面に分けて、図番で順番が分かるようにします。

縮尺の選び方

縮尺は、その図で何を伝えたいかで決めます。家具図面でよく使う縮尺の目安は次のとおりです。

縮尺使う図この縮尺で伝えること
1/50〜1/100キープラン、配置図建物の中での家具の位置、ほかの家具との関係
1/20〜1/30平面図、正面図、側面図家具全体の形、割付、主要寸法(大きなカウンターや壁面収納)
1/10平面図・正面図(小さな家具)、断面図板の構成、棚の位置、内部寸法
1/5断面図、部分詳細図扉と側板の取合い、天板の段差、引出しの構成
1/2〜1/1(原寸)部分詳細図小口の形、面取り、金物の取付位置、目地の寸法

迷ったら、板の厚みが二本線ではっきり描き分けられる縮尺を選びます。1/30以下の小さな縮尺で板厚まで描こうとすると線が重なって読めなくなるので、全体図では外形と割付を中心にし、板の構成は1/10以上の断面図や詳細図に任せます。逆に、全体が分かればよい図を必要以上に大きくすると、1枚に収まらず図面枚数ばかり増えます。

線の種類と太さの使い分け

線の種類と太さは、図面を読む人に「どれが切った面で、どれが見えている線か」を伝えるためのものです。建築製図の基本(JIS A 0150 建築製図通則)にそった使い分けが、家具図面でもそのまま通じます。

線太さ家具図面での使い方
実線太線断面図で切断された部分の輪郭(切った板の断面)
実線中線外形線・見えがかり線(切らずに見えている部分の輪郭)
実線細線寸法線・寸法補助線・引出線・ハッチング・目地
破線中線〜細線かくれ線(扉の奥の棚板、天板の下の幕板など、外から見えない部分)
一点鎖線細線中心線・基準線・通り芯、切断位置を示す線
二点鎖線細線想像線(開いた扉や引き出した引出し、組み込む機器の外形、隣の家具や既存物)

大事なのは、1枚の図面の中で、太さの違いがはっきり分かることです。太線・中線・細線の差が小さいと、印刷したときにすべて同じに見えてしまいます。断面図では、切断面の板を太線で囲み、必要に応じて材料ごとのハッチング(合板・集成材・石膏ボードなど)を入れると、どの板がどこまで通っているかが一目で分かります。

開き戸の開き勝手(吊元がどちら側か)は、正面図に一点鎖線などの記号で示します。表記の方法は会社や設計事務所によって違うことがあるので、指定がなければ凡例を図面に入れておくと誤解がありません。

描く前に決める「板の構成」と「扉の納まり」

家具図面の書き方でいちばん差が出るのがここです。平面図や正面図を描き始める前に、板の勝ち負け・板の厚み・扉の納まりを決めておきます。ここが決まっていないと、寸法を入れる段階で数字が合わなくなり、図面を何度も描き直すことになります。

板の勝ち負け

板と板がぶつかる角で、どちらの板を通すか(勝たせるか)を決めます。たとえば天板と側板の角なら、天板を側板の上に載せて通す「天板勝ち」と、側板を上まで伸ばして天板を挟む「側板勝ち」があります。

勝ち負けによって、側板の高さ、天板の幅、内法寸法がすべて変わります。また、勝った板の小口(板の切り口)が見えることになるので、小口の仕上げも同時に決めます。

板の厚みと構造

家具の板は、製作会社の標準的な構造に合わせて厚みを決めます。代表的なのは、芯材の両面に合板などを貼ったフラッシュ構造で、軽くて反りにくく、厚みを自由に決めやすいのが特徴です。ほかに、ランバーコア合板・パーティクルボード・MDFなどの板材をそのまま使う方法、框(かまち)を組んで鏡板を入れる框組などがあります。

図面では「側板 t=21」「棚板 t=18」のように部位ごとの厚みを決めて、すべての図で同じ厚みで描きます。厚みが図ごとにばらばらだと、寸法の合計が合わない図面になります。製作会社が決まっていれば、その会社の標準の板厚を最初に確認しておくと、承認後の手直しが減ります。

扉の納まり(かぶせ・インセット)

扉の納まり3種類を上から見た図(全かぶせ・半かぶせ・インセット) 全かぶせ半かぶせインセット 扉が側板の前面をほぼ全部おおう 中央の側板を左右の扉で半分ずつおおう 扉が側板の内側に入り、前面がそろう 側板扉
扉の納まりを上から見た図。灰色が側板、青が扉。下側が家具の正面です。

扉と側板の関係には、大きく分けて3つの納まりがあります。

どの納まりにするかで、扉の幅・高さ、使うスライド丁番の種類(座金の種類)が変わります。スライド丁番はカップ径35mmのものが一般的で、扉の厚み・かぶせ量・扉の高さと重さから、丁番の種類と個数を決めます。メーカーのカタログで「かぶせ量に対応する座金」「扉の高さに対する丁番の必要数」を確認し、品番を図面に書きます。

扉どうし、扉と箱のすき間(目地)も、このときに決めます。目地の寸法を決めておかないと、扉の幅が割り切れない、取手の位置がそろわない、といったことが後で起こります。

描く時間がとれない方へ:セットアップでは、設計図・資料をお預かりして、板の構成や納まりの確認から家具図面を作成しています。急ぎの案件や、確認事項の整理から任せたい場合は家具図面の作成サービスをご覧ください。

平面図の描き方

板の構成と扉の納まりが決まったら、平面図から描き始めます。平面図は、家具と建物の関係を決める図なので、家具そのものより先に「置く場所」を描くのがコツです。

  1. 基準を描く:通り芯、または寸法の基準にする壁の仕上げ面を描く。改修工事では、実測した壁の位置を基準にする
  2. 周りの条件を描く:壁・柱・窓・建具・幅木・設備(コンセント、給排水の立ち上がりなど)を、家具に関係する範囲だけ描く
  3. 家具の外形を描く:壁からの逃げ(すき間)を取ってから、家具の幅と奥行きを描く
  4. 板の構成を描く:天板の下にある側板・中仕切り・背板の位置を、破線または断面として描く(縮尺に応じて省略する)
  5. 扉・引出しの動きを描く:扉の開き軌跡、引出しを引き出した位置を描き、人の通路やほかの扉とぶつからないか確かめる
  6. 寸法と記号を入れる:外形・割付・壁からの距離、断面の切断位置、詳細図の番号

平面図でよく見落とすのが、扉や引出しを開けたときの寸法です。閉じた状態では収まっていても、開いたときに向かいの壁・柱・ドアノブ・ほかの家具に当たることがあります。特に壁際の扉は、扉の厚みと丁番の出が壁に当たって90度まで開かないことがあるので、壁との間にフィラー(すき間を埋める細い板)を入れて扉を壁から離すかどうかを、平面図の段階で決めます。

壁と家具のすき間の取り方とフィラーの決め方は、家具図面の「逃げ寸法」とフィラーの決め方で詳しく解説しています。

正面図(立面図)の描き方

正面図は、家具の「顔」を決める図です。扉や引出しの割付、取手の位置、高さ方向の寸法をここで決めます。

  1. 床と天井の線を引く:仕上げ後の床(FL)と天井の高さを描く。床に勾配や段差があれば描いておく
  2. 家具の外形を描く:平面図から幅を投影し、高さを決めて外形を描く。台輪・幕板・天板の厚みも描く
  3. 扉・引出しを割り付ける:決めておいた目地の寸法を引いて、扉・引出しの幅と高さを割り付ける
  4. 取手・つまみを描く:位置をそろえて描く。手掛け(扉の端に指を掛ける加工)の場合は、その形も描く
  5. 開き勝手・設備を描く:開き勝手の記号、コンセント・スイッチ・照明の位置、組み込む機器の外形を描く
  6. 寸法を入れる:割付寸法・全体寸法・高さ寸法(次の章で詳しく説明)

扉の割付は、できるだけ同じ幅にそろえるのが基本です。半端な幅の扉が1枚だけ混じると、見た目のバランスが崩れるうえ、製作の手間も増えます。全体の幅がどうしても割り切れないときは、端の扉を調整するのか、フィラーで吸収するのかを決めて、図面に書いておきます。

高さ方向では、カウンターや天板の高さ、棚の高さが使いやすい範囲に入っているかも確認します。キッチンの天板、受付カウンター、デスクなどは、使う人と用途で適した高さが変わるので、設計図の指定を確認し、指定がなければ設計者に確認します。

側面図・断面図の描き方

断面図は、家具図面の中で製作会社がいちばんよく見る図です。外からは見えない板の構成・棚の位置・内部の有効寸法を、断面図で伝えます。

どこで切るかを決める

断面は、構成が変わるところを必ず通るように切ります。たとえば、扉の部分と引出しの部分がある家具なら、両方を切る位置に切断線を引きます。縦に切る縦断面(正面図に切断線)と、横に切る横断面(平面図とは別に、高さの途中で水平に切る図)を必要な数だけ描きます。

断面図に描くこと

切断された板は太線で描き、その奥に見えている部分は中線・細線で描きます。壁・床・天井も一緒に断面で描き、家具とのすき間や固定の位置が分かるようにします。家具だけを描いた断面図では、現場での取付方法が伝わりません。

内部の寸法は、有効寸法(実際に物が入る寸法)が分かるように入れます。たとえばA4ファイルを入れる棚、組み込む冷蔵庫や機器のスペースは、板の内側から内側までの寸法と、扉や棚の奥行きを引いた有効寸法を書きます。可動棚にする場合は、棚ダボの穴の範囲とピッチも書いておきます。

側面図は、側面が見える家具や、奥行き方向に段差がある家具で描きます。側面がほかの家具や壁で隠れる場合は、断面図で代用して省略することもあります。

部分詳細図の描き方

部分詳細図は、1/5〜1/1の大きな縮尺で、納まりの要所を拡大して描く図です。全体図では線が重なって描けない部分を、ここで正確に伝えます。

詳細図を描くべき場所の代表例は次のとおりです。

詳細図は、「この部分を現場や工場で迷わずに再現できるか」を基準に、必要なものだけを描きます。すべての角を詳細図にする必要はありませんが、同じ形が繰り返すところは「同じ納まり」と書いて、詳細図を共通で使うと図面が整理されます。

寸法の入れ方

正面図の寸法を段に分けて入れる例 FL 600600600 1800 800 100 900 扉扉扉台輪 割付寸法全体寸法
寸法は、家具に近い側から「割付寸法」→「全体寸法」と段に分けて入れます。段ごとの合計が全体寸法と一致しているかを必ず確かめます。

寸法は、家具図面の中でいちばん間違いが許されない情報です。入れ方のルールを決めておくと、抜けや重複が減り、読む人も迷いません。

寸法の入れ方の基本

家具図面で特に大事な寸法

寸法書く理由
外形寸法(幅・奥行き・高さ)製作と搬入の基本。必ず全体寸法として明記する
内法寸法・有効寸法物が入るかどうかの確認。機器・ファイル・食器など、入れる物が決まっている部分は必須
壁・床・天井との距離(逃げ)現場の誤差を吸収する寸法。フィラーの幅と合わせて書く
板厚寸法の合計が合わない原因になりやすい。断面図・詳細図で明記する
目地・すき間扉の割付と見た目を左右する。詳細図や特記で明記する
金物・設備の位置取手、コンセント、配線穴、点検口の位置。基準からの寸法で書く

現場の寸法が確定していない部分は、寸法の数字の横に「現場実測」「現場合わせ」などと書いて、どこで誤差を吸収するかを図面ではっきりさせます。すべての寸法をぴったりに決めてしまうと、壁の傾きやわずかな誤差で家具が入らなくなります。

材料・仕上げ・金物の書き方

家具図面では、部位ごとの材料と仕上げを、製作会社がそのまま発注できるところまで書きます。書き方は大きく分けて、図の中に引出線で書く方法と、材料表にまとめる方法があります。部位が多い家具では、図に部位の記号を振って材料表で説明すると、図がすっきりします。

材料と仕上げの書き方

材料は「構造(芯材)」「表面材」「小口」の3つに分けて書くと漏れがありません。

部位書き方の例
扉フラッシュ t=20 表面:メラミン化粧板(品番・色番) 小口:同材貼り
天板t=30 表面:突板(樹種) ウレタン塗装(艶の程度) 小口:無垢材貼り 面取り
箱(側板・棚板)t=18 ポリ合板(色) 小口:樹脂テープ
背板t=4 ポリ合板(色) 見えがかりの場合は表面材を指定

化粧板や塗装は、メーカー名・品番・色番まで書きます。「白」「木目」だけでは、製作会社がどの材料を手配すればよいか決められません。設計図に指定がない部分は、「見えがかり」と「見えがくれ(扉を開けないと見えない部分)」を分け、見えがくれの部分は製作会社の標準でよいかを設計者に確認します。

金物の書き方

丁番・スライドレール・取手・棚ダボ・ステー・キャッチ・錠・アジャスターなどの金物は、メーカー名・品番・数量・取付位置を書きます。金物表にまとめて、図には記号で位置を示す方法が分かりやすいです。

スライドレールは、種類ごとに側板と引出しの箱の間に必要なすき間(取付寸法)が決まっています。引出しの箱の幅は、このすき間を引いて決めるので、金物を決める前に引出しの寸法を確定させてはいけません。金物のカタログは、図面を描き始める段階で手元にそろえておきます。

取付・下地・設備との取合いの書き方

家具図面は、工場で家具ができあがった後、現場でどう取り付けるかまで描いて初めて完成です。取付の情報が抜けていると、現場で下地がなくて固定できない、配線が通せない、といった問題が起こります。

固定方法と下地

壁に固定する家具(吊戸棚、背の高い収納、壁付けのカウンターなど)は、どこにどんな金物で固定するかを描き、壁の中に必要な下地(合板や木材の補強)の位置と範囲を指示します。下地は内装工事で入れるものなので、家具図面を早い段階で出して、内装の施工図に反映してもらう必要があります。背の高い家具は、転倒防止の固定方法も描きます。

床との取合い

床に置く家具は、台輪にするか、アジャスター(高さ調整の脚)にするかを描きます。床のわずかな傾きはアジャスターや台輪の調整で吸収します。壁際に置く家具は、幅木との取合いを必ず確認します。幅木がある壁に家具を付けると、幅木の厚み分だけ家具が壁から離れてしまうため、家具の裏を欠き込むのか、家具の部分だけ幅木をなくすのかを決めておきます。

設備との取合い

設備の位置は、設備図と家具図面を重ねて確認するのが確実です。設備業者が配線や配管を施工した後で家具とぶつかることが分かると、どちらかを直す工事が発生します。

製作と搬入の条件

大きな家具は、工場から現場まで運べる大きさに分割できるかを確認します。エレベーター・階段・廊下・入口の寸法、搬入のトラックの大きさを確かめ、運べない大きさの家具は、分割する位置と現場での接合方法を描きます。天井まで届く背の高い家具は、横に寝かせて運び、現場で起こして立てるので、起こす途中の対角線の長さが天井高さに収まるかも確認します。

CAD(Jw_cad)で家具図面を描くときのコツ

現在の家具図面は、ほとんどがCADで描かれています。建築の内装・家具の分野では、無料で使えるJw_cadが広く使われています。ここでは、Jw_cadで家具図面を描くときに、描きやすさと修正のしやすさが大きく変わるポイントを紹介します。

レイヤを分ける

線の種類ごとにレイヤ(画層)を分けておくと、修正や表示の切り替えが楽になります。例えば次のような分け方です。

レイヤ入れるもの
0通り芯・基準線
1建物(壁・柱・床・天井)
2家具の外形・断面
3家具の内部(棚・中仕切り)・かくれ線
4金物・機器
5設備(コンセント・配管など)
6ハッチング
7寸法
8文字・記号
F図面枠・表題欄

Jw_cadでは、縮尺ごとに「レイヤグループ」を分けられます。全体図を1/20、断面図を1/10、詳細図を1/2というように、1枚の図面の中で縮尺の違う図を描くときは、レイヤグループごとに縮尺を設定して描きます。

線色で線の太さを管理する

Jw_cadでは、線の色(線色)ごとに印刷するときの線の太さを決められます。「線色1は細線、線色2は中線、線色3は太線」のように決めて、描くときは太さではなく線色で使い分けます。こうしておくと、印刷したときに線の強弱が必ずそろいます。

くり返し使う部品はブロックや図形にする

丁番・取手・アジャスター・コンセントなど、何度も出てくる部品は、ブロックや図形として登録しておくと、描く手間が減り、図面ごとの表現もそろいます。メーカーが配布しているCADデータを使う場合も、そのまま貼るのではなく、必要な線だけを残して軽くしておくと扱いやすくなります。

寸法の設定をそろえる

寸法の文字の大きさ、矢印や点の形、寸法線と図の間隔は、最初に設定してそろえておきます。図ごとに寸法の見た目がばらばらだと、読みにくいだけでなく、修正のたびに手間がかかります。

Jw_cadの具体的な操作方法は、当社のJw_cad図解ガイドで、レイヤ・寸法・ブロックなどのテーマ別に図解しています。

提出前のチェックリスト

家具図面を描き終えたら、提出する前に次の項目を確認します。自分で描いた図面は思い込みで読んでしまうので、少し時間を空けてから、印刷した紙で確認するのがおすすめです。

寸法

納まり

材料・金物・取付

図面の体裁

家具図面でよくある失敗と防ぎ方は、家具図面制作でよくある失敗5選と対策法や、家具図面をCADで描くときの注意点でも紹介しています。

家具図面の書き方を早く身につけるには

最後に、家具図面の書き方を早く身につけるためのコツを3つ紹介します。

1. 良い図面を手本にする

家具図面の書き方は、会社や製作会社ごとに少しずつ違います。実際に製作・施工された家具の図面を手本にして、どの図にどの情報を書いているかを真似するのがいちばんの近道です。自分の会社の過去の図面を、同じ種類の家具ごとに整理しておくと、新しい図面を描くときの手本になります。

2. 製作と現場を見る

工場で家具が組み立てられるところや、現場で取り付けられるところを見ると、図面に何が必要かがよく分かります。製作会社や職人から返ってきた質問は、図面に足りなかった情報そのものなので、次の図面に必ず反映します。

3. 描く前に決める習慣をつける

このページで繰り返しお伝えしたように、家具図面は描く前に決めることが多い図面です。板の構成・扉の納まり・目地・逃げ・金物を決めてから描き始める習慣をつけると、描き直しが減り、図面の質も上がります。

家具図面の作成を依頼するという選択肢

家具図面は、描き方を覚えれば自社で描けるようになります。一方で、工期が迫っていて描く時間がとれない、物件が重なって手が足りない、納まりの検討から任せたい、という場面も多くあります。

セットアップは、横浜の図面制作会社として、家具・木製建具・造作・店舗内装の図面を描いています。設計図や資料をお預かりし、このページで紹介した手順で、確認事項の整理から、製作と取付に使える家具図面の作成まで対応します。Jw_cadを中心に、納品先に合わせたCAD形式でお渡しし、データ納品で全国からのご依頼に対応しています。

対応している家具の種類、ご依頼時にご用意いただきたい資料、作図例は、家具図面の作成(製作図・施工図)のページでご覧いただけます。

家具図面の作成サービスを見る 家具図面を相談する

DRAWING EXAMPLES

実際の家具図面の例

セットアップが作成した家具図面です(会社名・現場名・日付は伏せています)。図面を選ぶと大きく表示します。

家具図面の作図例 1家具図面の作図例 2家具図面の作図例 3家具図面の作図例 4家具図面の作図例 5家具図面の作図例 6

家具図面の作図例をもっと見る

FAQ

家具図面の書き方のよくある質問

家具図面は何から描き始めればよいですか?

CADを開く前に、設計図・展開図・設備図・メーカー資料を集め、板の勝ち負け・板厚・扉の納まり・目地を決めます。そのうえで、置く場所の基準と周りの条件を描いた平面図から始めると、後の描き直しが少なくなります。

家具図面にはどの図が必要ですか?

基本はキープラン、平面図、正面図(立面図)、側面図、断面図、部分詳細図、材料表・金物表です。家具の大きさや複雑さによって、側面図を断面図で代用したり、詳細図の数を増減したりします。

家具図面の縮尺はどう決めればよいですか?

全体の平面図・正面図は1/20〜1/30、断面図は1/10〜1/5、部分詳細図は1/2〜1/1が目安です。板の厚みを二本線ではっきり描き分けたい図は、1/10以上の縮尺にします。

手書きでも家具図面は描けますか?

描けます。線の使い分けや寸法の入れ方の考え方は同じです。ただし修正や複製、製作会社とのデータのやりとりを考えると、実務ではCADで描くのが一般的です。

家具図面を描くのにおすすめのCADは何ですか?

建築の内装・家具の分野では、無料で使えるJw_cadが広く使われています。納品先からAutoCADなど別のCADの形式を指定されることもあるので、提出先の指定を先に確認してください。

寸法はどこまで細かく入れればよいですか?

製作会社がその図面だけで板を切り、組み立てられるところまで入れます。外形寸法、割付寸法、板厚、内法・有効寸法、壁や天井との逃げ、金物・設備の位置は必ず入れ、割付寸法の合計が全体寸法と一致するか検算します。

扉の全かぶせ・半かぶせ・インセットはどう選びますか?

扉の面をそろえて見せたい一般的な収納は全かぶせ、横に連続した収納の中仕切り部分は半かぶせ、枠を見せるすっきりした見た目にしたい場合はインセットを選ぶことが多いです。納まりによって扉の寸法とスライド丁番の座金の種類が変わります。

設計図と現場の寸法が合わないときはどうすればよいですか?

描き進める前に、食い違いを質疑として整理し、設計者に確認します。現場の寸法が確定していない部分は「現場実測」と明記し、フィラーなどで誤差を吸収する場所を図面で決めておきます。

家具図面の作成だけを依頼することはできますか?

できます。セットアップでは設計図や資料をお預かりして、確認事項の整理から家具図面(製作図・施工図)の作成まで対応しています。詳しくは家具図面の作成サービスのページをご覧ください。

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