TECHNICAL JOURNAL

家具図面で壁への固定をどう描くか|下地の位置・転倒防止金物と、図面に書いておくこと

壁際に設置する背の高い木製収納のイメージ

壁際に設置する背の高い木製収納のイメージ(AI生成)。固定金物・下地の施工方法や安全性を示すものではありません。

家具図面を描き上げて現場に出したあと、「これ、どこに留めるんですか」と聞かれたことはないでしょうか。姿図も断面も寸法も入っているのに、壁にどう固定するかだけが書かれていない——家具図面でいちばん抜けやすいのが、この固定まわりです。

寸法が合っていても、留める場所に下地が無ければ家具は据わりません。壁の中は現場に行ってから直せないので、図面の段階で決めておく必要がある項目です。この記事では、壁付けの家具をどう固定し、それをどう図面に描くかを整理します。家具図面の作成(製作図・施工図)の全体像とあわせて読んでいただくと分かりやすいと思います。

まず「自立するか、壁に預けるか」を決める

家具の固定の考え方は、大きく2つに分かれます。

この2つでは、必要な下地の強さも金物の位置もまったく違います。背の高い収納や吊り戸棚は、中に物が入った状態の重さがそのまま下地にかかります。「とりあえずL金物で留める」で済ませてよいものではありません。

留められるのは「下地」だけです

壁の仕上げが石膏ボードの場合、ボードだけにビスを打っても効きません。東京消防庁の資料でも、L型金具で壁に固定するには間柱など壁の下地材に取り付けることが大切だとされています。留められるのは次の位置です。

留める先位置の目安図面での扱い
柱開口まわり・壁の端部平面詳細図で位置が読める
間柱455mmまたは303mmピッチが多い家具の割付と合うとは限らない
胴縁・補強下地必要な高さに入れてもらう図面で指示が必要

注意したいのは、間柱の位置と、家具側で留めたい位置(側板・地板・背板の芯)が一致するとは限らないことです。消防庁の資料でも、位置がずれる場合は補助木材を入れてから金具を付ける方法が示されています。家具図面では、この補助木材=家具用の下地を「どの高さに・どの範囲で」入れるかを先に書いてしまうのが確実です。

ルーバー扉の背の高い収納の製作図。側断面の上部に「転倒防止金物下地」、扉の四隅に裏面補強プレートの品番と寸法が記入されている

金物は種類・品番・位置まで決める

固定金物は「L金物」とだけ書かれていることが多いのですが、現場で迷わないのは品番と寸法まで入っている図面です。上の作図例でも、転倒防止の下地位置とあわせて、裏面補強プレートの品番(平横隅金 92.5×21、T字隅金 90×75×18)まで記入しています。

金物の厚みにも目安があります。東京消防庁の資料では、厚み3mm以下の薄い金具は震度6程度の揺れで曲がってしまうとして、購入時に注意するよう案内されています。家具図面で金物を指定するときも、ここは外せない条件です。上下2段に分かれる家具は、金具で上下を連結することも忘れずに。

図面に書いておく5つ

棚板の受け方や可動棚のダボ穴のように家具の中だけで完結する話と違い、固定は相手(建物側)がある項目です。だからこそ、図面で先に合意しておく価値があります。

よくある失敗

私達の現場から

私達の現場でも、以前は「固定方法は現場で」と書いて出していたことがありました。ところが現場に行ってみると、壁の下地はすでにボードで塞がれていて、入れ直すには仕上げを壊すしかない、ということが起きます。下地は、図面を描いている時期にしか決められない項目でした。

いまは、壁付けの家具は必ず側断面に下地の位置を描き、金物の品番と数を仕様欄に入れるようにしています。あわせて、下地を誰が入れるのかを図面の注記に1行書くこともしています。たった1行ですが、これがあるかないかで現場での手戻りがずいぶん減りました。

まとめ

家具の固定は、造作図面の作成や木製建具図面の作成とも関わる、建物側との取り合いの話です。家具図面の作成はこちらからご相談ください。下地や工事区分の書き方も含めて、現場で通る図面にしてお渡しします。

参考リンク


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