
木製の窓枠と壁仕上げの納まりのイメージ(AI生成)。掲載図面の再現や施工寸法を示すものではありません。
「額縁の見込みは何mmで描けばいいですか」「チリは何mm取るものですか」
額縁は、サッシや建具の枠と、室内の壁の仕上げ面とをつなぐ枠です。どの現場にもあるごく当たり前の部材ですが、見込み・見付・チリの3つのうちどれか1つでも決め方があいまいだと、現場で「額縁が壁に届かない」「逆に出っぱった」という手直しになります。造作図面全体の描き方は造作図面の作成でまとめています。この記事では、額縁を造作図面にどう描くかに絞ってお話しします。
額縁が決めているのは「3つの寸法」です
額縁の図面で決めるのは、次の3つです。言葉がまぎらわしいので、最初に整理しておきます。
| 呼び方 | どこの寸法か | 決まり方 |
|---|---|---|
| 見付(みつけ) | 正面から見たときの額縁の幅 | 意匠で決める。住宅の造作では20〜25mm程度が多い |
| 見込(みこみ) | 横から見たときの奥行き(壁の中に入っていく方向) | 壁の厚さと仕上げ厚で決まる。意匠では決められない |
| チリ | 額縁の面と、壁の仕上げ面との段差 | 10〜15mm程度を取るのが基本。下枠は0にする納まりもある |
このうち、図面で間違いが起きやすいのは見込です。見付とチリは「いくつにするか」を決める寸法ですが、見込は現場の壁の作りから逆算して出す寸法だからです。
見込は「サッシ枠から壁の仕上げ面まで」を測って決める
額縁の見込は、おおまかには次の積み上げです。
- サッシ枠(または建具枠)の室内側の面から、壁の下地面まで
- + 壁の仕上げ厚(石膏ボード12.5mm+クロス、など)
- + チリの分
ここで効いてくるのが、壁の仕上げがまだ出来ていない時点で額縁を発注することが多い、という事情です。採寸した時点が「下地まで」なのか「仕上げまで」なのかを取り違えると、そのまま見込の間違いになります。図面には、どこからどこまでの寸法なのかを必ず書いてください。「D=135」と数字だけ書いてあっても、受け取った側は確かめようがありません。
壁がふかしてある、下地に段差がある、という場合も同じです。メーカーの施工説明書でも、取付け面に段差があるときは段差スペーサーなどで面をそろえるよう指示されています。段差のまま額縁を当てると、ねじれて付きます。また既製品の内額縁には取付けできる範囲があり、たとえばLIXILの内額縁では、柱の外面から内装仕上げ面までが175mm以下の範囲で取り付けるよう示されています。造作で作る場合も、見込が大きくなるほど反りやすくなるので、材の厚みや裏の反り止めを合わせて考えます。

チリは10〜15mmが目安。0にはしない
チリは、額縁の面を壁の仕上げ面より手前に出しておくための段差です。これがあるおかげで、壁のクロスの端が額縁の側面で止まり、仕上げの小さな誤差が目立たなくなります。
メーカーの既製品でも、この段差は決まった値で用意されています。たとえばパナソニックの窓枠セットでは、固定枠(3方・4方枠)で縦枠のチリ10〜15mm、横枠6〜11mm、ケーシング枠では縦枠13mm、横枠9mmとされています。造作で作る場合も、この程度が1つの目安になります。
注意したいのが、次の2つです。
- 下枠(窓台)はチリを0にする納まりがある。物を置いたときに引っかからないようにするためです。縦・上はチリあり、下は0、という図面は珍しくありません。どこが0なのかを図面に書き分けてください
- デザイン上チリを0にすると、施工の誤差がそのまま段差として見えます。どうしても薄くしたいときでも、5mm程度は残しておくほうが現場は収まります
図面に書いておくこと
額縁は、水平断面図(平面)と垂直断面図(縦)の2つで伝えます。この2枚に、次を入れておきます。
- 見込の寸法と、その起点・終点(サッシ枠のどの面からか、壁の下地面までか仕上げ面までか)
- 見付の寸法と、面取り・小口の処理
- チリの寸法。縦・上・下でそれぞれ書く(下が0ならそう書く)
- 材料と仕上げ(オレフィンシート、突板+塗装、など)。品番まで書くと色違いの事故が減ります
- 取合い。カーテンボックスや巾木、窓台とぶつかる所は、その断面に重ねて描く
カーテンボックスが付く窓では、額縁の見込とカーテンボックスの奥行きが同じ断面に並びます。こちらは造作図面でカーテンボックスを描くときの寸法でまとめています。
現場でよくある失敗
- 仕上げ前に採寸した見込で発注した … クロスやタイルの厚みぶん額縁が引っ込み、チリがなくなった
- 下枠もチリ付きで作ってしまった … 窓台に物を置くと段差に引っかかる。現場で削ることになった
- 下地の段差をそのままにして取り付けた … 額縁がねじれ、縦枠と横枠の継ぎ目にすき間が出た
- 見込が大きい窓で、材の厚みを増やさなかった … 反って、壁との間にすき間ができた
どれも、図面に「どこからどこまでの寸法か」と「どの時点の壁か(下地か仕上げ後か)」が書いてあれば防げるものです。
私達の現場でも
私達の現場でも、額縁は「寸法そのもの」より寸法の起点でやり取りが発生します。そこで、断面図の見込寸法には必ず起点を示す引出線を入れ、仕上げ厚が未定の段階では「壁仕上げ厚○mmとして見込○mm(仕上げ確定後に再確認)」と図面に書き込むようにしています。確定していないことを確定したように描かない、という当たり前のことですが、これが一番効きました。
もう1つは、現場で額縁の取付け面を1か所だけ実測してもらうことです。図面どおりの壁になっているかを、材を切る前に確かめられます。
まとめ
- 額縁で決めるのは見付・見込・チリの3つ。見込だけは壁の作りから逆算して出す
- 見込は起点と終点を図面に書く。「下地まで」か「仕上げ後まで」かを取り違えない
- チリは10〜15mm程度が目安。下枠は0にする納まりがあるので書き分ける
- 断面図は水平・垂直の2枚。カーテンボックスや巾木との取合いも同じ断面に重ねる
額縁を含む造作図面の作成はこちらからご相談ください。サッシや建具まわりの図面は木製建具図面、収納や什器は家具図面のページでもご紹介しています。
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