TECHNICAL JOURNAL

家具図面の「承認」で何を決めるのか|承認図の確認事項とチェックバックで失敗しない進め方

「承認図はもう出してあるのに、製作に入る直前になって取手の品番が変わった」「電話で決めたはずの棚の高さが、できあがった家具では違っていた」

家具工事のやり直しをたどっていくと、原因の多くは承認図の段階で決めきれていなかったことにあります。承認図は「とりあえず出す図面」ではなく、製作に入ってよいかを関係者全員で決めるための図面です。

この記事では、家具図面の承認図で何を決めるのかと、設計者・施工会社から戻ってくる赤字(チェックバック)を取りこぼさずに製作までつなぐ進め方をまとめます。家具図面の種類や描く内容の全体は家具図面の作成(製作図・施工図)のページで解説しています。

承認図から製作までの流れ

造り付けの家具は、おおむね次の順番で図面が進みます。

  1. 設計図(意匠図):設計者が描く。家具の大きさや仕上げの考え方が示されている
  2. 承認図の提出(1回目):家具の製作側が、寸法・材料・金物・取付方法まで描き込んで提出する
  3. チェックバック:設計者・施工会社・施主から、赤字の指摘や質問への回答が戻る
  4. 修正・再提出:指摘を反映して出し直す。これを承認が出るまで繰り返す
  5. 承認:「この図面のとおりに作ってよい」と決まる
  6. 製作・取付:承認された図面をもとに、工場で部材の図面を起こして製作する

公共工事でも、施工図や製作図は監督職員に提出して承諾を受けてから施工する流れになっています。民間の工事でも考え方は同じで、承認が出た図面が、製作の唯一のよりどころになります。

承認図で決めておくこと

承認のあとで変えると、材料の手配や加工がやり直しになり、工期にも響きます。特に次の項目は、承認図の段階で決めきるようにします。

項目承認図で決めることあとから変えると
寸法外形寸法・逃げ寸法・扉や引出しの割付板の切り直し。現場に入らないことも
材料・色柄化粧材の品番、木目の方向、小口の仕上げ材料の再発注。納期待ちで製作が止まる
金物丁番・取手・スライドレール・錠の品番穴あけ位置が変わり、扉や側板の作り直し
設備との取合いコンセント・照明・給排水・点検口の位置家具に穴を開け直す。点検口がふさがる
取付と搬入壁の下地の範囲、分割の位置、搬入経路下地が無くて固定できない。搬入できない

「同等品」「別途協議」と書いたまま承認を受けると、決めたつもりで何も決まっていない状態になります。品番が決まらない項目は、承認図の中で「未決」と分かるように残しておくのが安全です。

分からないことは「確認事項」として図面に書く

承認図を描いていると、設計図だけでは決められないことが必ず出てきます。そうした質問は、メールや電話だけで済ませず、図面の中に「確認事項」として書いて提出します。

クローゼットの家具図面。平面図・正面図・側面図の横に「確認事項:点検口の設置位置が丁番に干渉します」と質問を書き込んでいる

上の図は、クローゼットの承認図の例です。設計図どおりの位置だと点検口が扉の丁番にぶつかることが分かったため、図面の中に「確認事項」として位置の検討をお願いしています。図面に書いておけば、誰が見ても、何を決めてほしいのかが分かり、回答もそのまま図面に反映できます。

チェックバックで失敗しない進め方

私達の現場でも、承認図のやり取りが2回、3回と続くことは珍しくありません。回数が増えるほど、どの指摘をどこまで反映したのかがあいまいになりがちです。次の4つを習慣にすると、取りこぼしが減ります。

家具は建具や造作と取り合うことが多く、扉の勝手や枠の寸法が変わると家具も直すことになります。建具図面・造作図面と同じタイミングで同じ版を確認しておくと、食い違いを防げます。

現場でよくある失敗

どれも、「決まったことを図面に書く」「決まっていないことを図面で見えるようにする」ことで防げる失敗です。

まとめ

建具との取合いは建具図面、壁や天井まわりの納まりは造作図面のページもあわせてご覧ください。承認図・製作図を含む家具図面の作成は、こちらからご相談ください。

参考リンク


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