家具図面とは?制作代行業者の利用や相場、注意点を紹介

みなさんは「家具図面」という言葉を聞かれたことがありますか。

「家具図面」は主に、自宅を、建築士や設計士が設計する際、その間取りやデザインに応じた家具を作るために必要となる図面です。

また、施主からオーダーメイドの家具の作成を依頼され、工務店等に発注される場合にも必要となります。

他にも店舗の新装開店やリニューアル、モデルハウスの建築の際にも独自性を出すために既製品ではなく、唯一無二の家具を設置することを目的とし、特注される場合も必要となる図面です。

「家具図面」の中には様々な種類があるため、制作代行業者に依頼される際は、認識の違いがないよう事前に十分なコミュニケーションが必要となります。

建築士や設計士が制作者に伝えるための図面のことを「施工図面」や「製作図面」と呼び、具体的な寸法や材料の選定、接合方法などの情報が必要となります。

一方で、建築士や設計士が施主から依頼され、その家具のイメージをつかみ、「施工図面」や「製作図面」につなげることを目的とした図面のことを「平面図」や「立面図」、「断面図」と呼びます。

同じ「図面」と呼びますが、その用途によって完成品が異なるため、外注される際は十分注意しましょう。

そこで今回は、「家具図面」の制作代行業者を利用する際の相場や注意点をご紹介します。

1. 図面の形式

1-1 CAD図面

CAD図面のファイル形式には複数の種類があります。

DXFやJW₋CAD、STEP等、主な2D(2次元)図面の他にも実に10種類近くのファイル形式があり、制作代行業者によっては取り扱いができない種類もあります。

制作代行業者に依頼をされる前には事前に聞き取りを行い、自社のシステムとの互換性や必要なファイル形式の納品が可能か確認してください。

1-2 3DCG

3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)図面のファイル形式にもCAD図面と同様に複数の種類があります。

特に3DCG図面は、立体の形状データや実際の完成品のモデルとなりますので、2D図面よりも正確さが求められます。

STLやOBJ、GLTF等、主な3D図面の他にも10種類近くのファイル形式があり、使用用途によって必要な形式が異なります。

また、CAD図面と同じく、自社のシステムとの互換性や必要なファイル形式の納品が可能か確認してください。

2.制作代行業者を利用する際のポイント

2-1 制作可能な図面の種類を確認

家具図面には、ソフトによるファイル形式の違いはもちろんありますが、冒頭にも申し上げたとおり、図面の種類によって段階の違いがあります。

施主の意図やイメージを汲み取り、設計者が制作者へ伝えるための平面図や立面図、断面図や詳細図等が第一段階になります。

また、これらの設計図面を基に、より具体的かつ精密な図面のことを施工図面や製作図面と呼びます。

施工図面や製作図面の作図に対応できない制作代行業者もありますので、注意が必要です。

2-2 費用対効果を検証

建築士や設計士が家具図面の制作代行を業者に発注する際、最も重要なポイントの一つです。

外注を繰り返すことにより、コストパフォーマンスが低下することにもつながりますので、請け負う件数によっては、自社で直接雇用をする方が効果的な場合もあります。

また、制作代行業者によっては、単発の案件を受注せず、継続案件の契約のみ請け負う場合もありますので、日ごろからの情報収集が必要となります。

2-3 過去の実績を確認

2‐1でもご紹介しましたが、制作代行業者によっては、制作可能な図面の種類が限られている場合があります。

また、図面の制作ができたとしてもファイル形式が限られているため、制作を依頼する側の使用ソフトとの互換性がない場合も想定されます。

そして、何より過去の実績を見ると、その制作代行業者の持つスペックや完成後のイメージがしやすく、後々の大幅な修正やトラブルを回避することにつながります。

まずは、ホームページ等で公開されている過去の作図実績を確認し、不明な点があれば制作代行業者と事前に調整をしておきましょう。

3.制作代行業者を利用する際の相場

3-1 基本料金の内訳

先にもご紹介しましたが、「家具図面」と呼ばれるものには、様々な種類があります。

また、制作代行業者によっては、制作可能な図面のファイル形式が限られており、ファイル形式の変換作業費等を考慮すると、基本料金の内訳が相場に大きく影響を及ぼすこともあります。

外注する場合、「平面図」や「立面図」、「断面図」は、1件の図面制作にあたり数万円~十数万円が相場ですが、基本料金の中で完結できる仕様とできない仕様がありますので、依頼前に内訳を聞き取り、無駄な費用の発生を防ぐことが重要です。

ちなみに、「施工図面」や「製作図面」の場合は、1件の図面制作にかかる費用は数万円から、場合によっては数十万円のケースもありますので、慎重に検討してください。

3-2 追加費用の有無

基本料金の内訳を把握した後、追加費用の検証も必要です。

外注される際、どのような図面を求めているのか、完成度等を制作代行業者へ細かく伝え、不要なオプションはできるだけ省くことが重要です。

制作代行業者によっては、複数のスキルを持っているため、受注の際、不要なオプションを勧めるケースもあります。

しかし、どの段階の図面が必要なのか、また、どのファイル形式なら自社の使用ソフトと互換性があるのか、そして、ご自身が必要とする仕上がりの図面制作のスキルがあるのか、といったことが最重要です。

作図後、無駄なトラブルを防ぐためにも、事前に準備をしておきましょう。

4.制作代行業者を利用する際の注意点

3-3 納期の確認

「家具図面」の制作代行に限ったことではありませんが、外注をする際は納期の確認を注意しておきましょう。

ほとんどの制作代行業者は誠実に約束を守りますが、一部では納期を気にしない業者や制作を依頼される方の意図を汲み取ることができず、何度も修正を繰り返す制作代行業者もあります。

制作代行を依頼される前に、納期の確認や意図のすり合わせ、次の現場とのスケジュール感等、できるだけ多くの要素を共有しておき、こまめな連絡調整を欠かさないよう心がけることも必要です。

図面の制作が遅れると現場の施工にも影響し、その結果、余計な費用が発生することになりかねません。

納期に関しても事前に十分な確認をしておきましょう。

アフターフォローの充実度

「家具図面」とは、その家具が完成して初めて意味のあるものになります。

ご自宅を新築される際やリフォームをされる際に、そのイメージや間取りに合った家具が完成するとお客様に喜ばれます。

しかし、家具の完成度がお客様の求められているイメージと異なった場合、その損失は計り知ることができません。

モノづくりの現場では、設計者と制作者の意思疎通が重要なカギとなることは言うまでもありません。

その為には、やはり図面が納品された後、可能なアフターフォローの範囲も大切なポイントです。

制作代行業者を利用する際には、どの程度の修正が可能なのか事前に協議をしておくよう注意しましょう。

まとめ

いかがでしたか。
「家具図面」と一言で表すことは簡単ですが、その種類は様々なものがあります。

制作代行業者を利用される際、完成度として求める内容は、その先にある家具の制作につながるため、事前に綿密な打ち合わせやその制作代行業者の過去の実績を必ず把握しておきましょう。

モノづくりの現場では、常に変化する社会情勢やトレンド、建築物に生じる少しの食い違いが、その後のお客様サービスや満足度に大きな影響を与えることになります。

また、「家具図面」を自社で作図することが可能であったとしても、現場の施工やお客様との連絡調整、それ以外にもたくさんの課題を抱えることがあるため、制作代行業者を利用することにより、時間の節約や他の業務へ注力する余裕が生まれることもあります。

したがって、費用対効果はもちろんのことですが、最小限の費用で最大限の効果を発揮できるよう、ご自身のパートナーとなる制作代行業者を見つけることも仕事を円滑にすすめるうえでは重要なミッションの一つになります。

技術的な課題をクリアするとともに、まずは制作代行業者との関係性を大切にするために自社とのフィーリングやその業者のバックグラウンドも、依頼するための検討する要素になることは間違いありません。

今回の記事を、ご自身に合った制作代行業者を探すヒントにしていただければ幸いです。

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