今回は、建具図面でよく起きるトラブルとその原因、また、トラブルを防ぐために施工前に確認したいポイントをご紹介します。
みなさまは建具と聞いて、何を思い浮かべられますか。
建具とは、屋内では部屋と部屋を仕切るための襖や引き戸、プライベート空間とオープン空間(廊下やロビーなど)を仕切るための扉のことを指します。
また、屋外と屋内を仕切るための玄関扉や窓、屋外に設置している屋根付き駐車場に取り付けられているシャッターなども建具に含まれます。
一度はご経験があると思いますが、部屋と部屋を仕切る襖に歪みがあり隙間が生じたり、これまで問題なく開閉ができていた窓や雨戸が閉めにくくなったり、逆に開けにくくなったりすることがあります。
この原因として挙げられる理由は、建具そのものの歪みによるもののほか、建物そのものの傾きによるものもあります。
このような事象は、長い年月を経て起こる不具合ですが、そもそも当初の建具図面の作成段階でよく起きるトラブルがあることも事実です。
このような経年によるトラブルと施工中に起こるトラブルを回避するためには、施工前に十分な協議と確認が必要になります。
今回は、建具図面でよく起きるトラブルとその原因などについてお伝えしたいと思います。
1. 図面の種類

建具図面と呼ばれるものには、配置図や姿図、断面図のほかに建具表があります。
これらの図面には、建具の種類や寸法、使用部材や取付金具の品番などが記載されており、図面同士の相互確認により施工することになります。
しかし、これらの図面はあくまでも概要を記載しているに過ぎず、施工段階では、より詳細な情報が求められることが一般的です。
そのため、配置図や姿図、断面図をもとにして、設計者から施工者へ意匠伝達するために施工図面や製作図面と呼ばれる図面を作成します。
この施工図面や製作図面は、より詳細に施工内容を記載しているため各種申請図書として、そのまま流用することができます。
1-1 建具図面
配置図には、建具の配置位置や開閉方向などを記載しているため、真上から見たときのイメージが分かりやすくなっております。
姿図には、正面から見た際の建具の高さなどを記載しているため、目に入るイメージがしやすくなっております。
断面図には、建具や壁の厚みを記載しているため、その建築物の構造が分かりやすくなっております。
1-2 建具表
建具表は、配置図や姿図、断面図とは異なり、取り付ける建具の寸法や材質、使用するメーカーの品番などを記載しているため、施工者が部材の発注をする際に必要となる情報が盛り込まれております。
また、その部材を加工する必要がある場合、通常の建具表には詳細まで記載されていないことがありますが、設計者によっては建具表のなかにその加工内容を仕様として記載することもあります。
2. トラブルとその原因

建具図面でよく起きるトラブルとして、使用予定の部材や取付金具が廃番になっていることが挙げられます。
このような事象が起きる原因は、設計者がこれまでに作図した図面を流用し、現在のメーカーの取り扱い製品を調べず、部材や取付金具をそのまま図面に記載していることがあるからです。
また、設計段階ではメーカーが取り扱っていた製品が施工までの間に廃番にすることもあります。
建具は数ミリ単位のズレが原因で開閉に支障をきたすため、後継製品では対応ができないことにもつながります。
このような事象を防ぐためにも、事前に配置図や姿図、断面図や建具表をもとに施工図面や製作図面を作成しておくことが必要です。
2-1 意思の相違
施主と設計者、設計者と施工者の間で事前に打ち合わせや工法の確認をする際、それぞれが必要と考えている図面に相違があることも頻繁に起こります。
特に施工者は現場で扉や窓の開閉が可能か、最後の確認まで怠ることはできませんので、より正確な図面を求めます。
しかし、設計者によっては、建具や壁の厚み、扉や窓の開閉などは最終的に現場での施工に頼ることも多く、この少しの意思の相違が結果的には施主の希望からかけ離れた施工につながることになります。
2-2 廃番
設計者の責任ではない場合もありますが、メーカーは建具の部材や色、取付金具の種類をアップデートし、日々、廃番になる製品があります。
メーカーが廃番にしている場合、必要な調査をおこなうことにより、設計の段階で後継製品を図面に反映することは可能です。
しかし、設計の段階では廃番にはなっていないものの、施工の段階で廃番になることもあります。
このようなケースでは、設計者と施工者の経験を生かし、より当初の設計に近づけるよう柔軟な対応が求められます。
3. 施工前に確認したいポイント

建具の施工をする際、事前に調べておくポイントが2点あります。
1点目は、その建具が外観や内観の雰囲気に沿ったものになっているかどうかです。
図面上では、綺麗な仕上がりに見えても、施工をすすめるなかで違和感がある建具になることもあります。
2点目は、先ほども申し上げたとおり、使用予定の部材や取付金具が廃番になっていることがあります。
これらのトラブルを防ぐためには、設計の段階で、できる限りイメージのすり合わせをしておくほか、事前の調査を欠かさないよう心がけましょう。
また、施主との打ち合わせでは、施工をすすめるなかで設計図書とは異なる施工になる可能性もあることを伝えておく必要もあります。
3-1 施主の希望どおりの建具
設計者が施主から依頼され、建具図面を作成する際、完成品として提示する図面は平面図や立面図、断面図になります。
設計者によっては、3D図面を提示することもありますが、過剰なサービスは想定以上の費用がかかることにもつながりますので、その設計者の得意とする分野は事前に調べておく方が良いでしょう。
施主は、自身の持つイメージが設計者に伝わっていることを確認することができれば問題ありませんので、設計前の打ち合わせでは、できるだけ多くの希望を伝えておくことにより、設計者も様々な選択肢から、その希望に沿った提案がしやすいと考えられます。
また、これらの図面を提示しながら、少しずつ意思の統一化を図ることにより、構造上の問題がなければ可能な範囲で修正もできます。
そして、施主は建具表とカタログなどをもとに完成後のイメージがわきやすくなりますので、施工前の確認としては十分です。
3-2 設計者から施工者への意匠伝達
一方、設計者から施工者へ伝える際は、平面図や立面図、断面図や建具表に加え、施工図面や製作図面を用意しておくことをお勧めします。
建具は「動かす」ということを目的に取り付けるものになりますので、本体そのものの寸法や取付金具の接合工法など、詳細なすり合わせが必要となるからです。
設計者によっては、施工者の経験やスキルに依存することもありますが、建具や壁の厚みにより、構造上の問題が起こる可能性もあります。
施工図面や製作図面は最終的に建築確認申請にも使用できるため、いずれは必要となるものになりますので、事前に準備しておくことにより、施工そのものをスムーズにすすめることができます。
施工図面や製作図面をもとに施工にとりかかることができるのかは、確認したいポイントの1つです。
4. まとめ
ここまで、建具図面でよく起きるトラブルとその原因、施工前に確認したいポイントを挙げましたが、今回の記事では経年前の内容をご紹介しました。
建具の種類そのものが数多く存在しているため、国土交通省からは標準的な建具を図面に記載する場合の記号も提示されております。
種類が多いことにより、起きるトラブルもありますが、逆に種類が多いことによりトラブルが起こった際、柔軟な対応が可能となる側面があることも事実です。
施工者もまた、単純な平面図や立面図、断面図のみに頼った施工をすることにより、設計者の意図をすべて理解することは難しく、現場で工法の悩みを抱えることにもなります。
施工者が工法の悩みを抱えることにより、建具の工程が当初よりも長引き、結果、工期の延長にもつながりかねません。
このような事態を防ぐためには、やはり、施工図面や製作図面を準備し、より詳細な現場のイメージを設計者と施工者で共有しすり合わせすることが大切になります。
建具で使用する木材は湿気や気温により、膨張したり伸縮することがあります。また、アルミ製のように軽い建具の場合、少しの衝撃で歪みが生じることもあります。
このように繊細な部材であるからこそ、慎重かつ丁寧な施工ができるよう、事前の準備には時間をかけ、施主の満足度を高めることをお勧めします。





