今回は建具図面作成サービスの内容をご紹介します。
建具とは、主に建物の内側と外側を間仕切るための外部建具と建物内の部屋やプライベートスペースを間仕切るための内部建具に分かれます。
そのほかにも敷地内に設置する倉庫や車庫のシャッター等も建具に分類されます。
建具図面は国土交通省が一般的な表記方法を示しており、施主や設計者の独断で作成できるものではありませんが、この表記方法を必ず使用しなくてはいけないといった決まりもございません。
特にオーダーメイドで建物を建てる場合は、この表記方法が馴染まないこともあることから、専門業者の場合、施主や施工者に伝わりやすいよう、独自の表記方法を用いて図面を作成することもあります。
サービスを比較するためには、費用はもちろんのことですが、施主自身も納期や対応範囲を認識しておき、設計士や建築士、施工者へ明確に希望を伝えておく必要があります。
1.建具とは

1‐1 戸
戸は、建物の内部と外部の間にある扉や建物内を間仕切るために設置されております。
ご存じのとおり、主な種類でも「両開き扉」、「片開き扉」、「引違い戸」、「引込戸」など様々なものがあります。
戸は玄関に使用するものだけではなく、勝手口と呼ばれる裏口や建物内部では部屋と部屋、お風呂やトイレといったプライベートスペースを間仕切るためにも使用するため、豊富な種類が存在します。
限られたスペースを最大限に生かすことを目的とする場合や部屋の雰囲気作りのために壁と同色にする等、建具の中でも比較的広い面積を占めるものになります。
1‐2 サッシ
サッシは、主に建物の内部と外部の間に設置する窓や雨戸のことを指します。
こちらも、豊富な種類があり、主なものでも10種類以上存在します。
特に窓ガラスは、建築基準法で採光のために設置する必要な面積が定められております。
少し難しい計算式もあり、必要採光面積や補正係数を乗じた有効採光面積等も定められているため、建物を建てる際は、設計士や建築士がその面積を計算することになります。
建物の種類によってもこの採光面積が異なるため、専門家の判断が必要となりますので、オーダーメイドで依頼される場合は、専門家とのすり合わせを十分に行ってください。
1‐3 障子
その名のとおり、建物内部の部屋と部屋、部屋と廊下等を間仕切るためのものです。
現在も木造住宅では、和室のスペースを設けることが多く、和室とその他のスペースの間に使用されます。
昔ながらの障子は年に1回、和紙を貼り替える必要がありましたが、現在は和紙に似た半透明のプラスティックを使用したものもあり、維持管理の手間は省けるようになりました。
2. 種類

2‐1 木製
建具の種類の中で最も多く使用されているものは、木製と言われております。
特に個人が居住用に建てる住宅のほとんどは、木造であるため、木製建具は時代が移り変わっても減ることはありません。
また、木製建具の図面作成を専門に受注している業者もありますので、一度お調べください。
2‐2 アルミ製
木製の次に多い種類は、アルミ製です。
錆に強く、建具そのものも軽く長持ちをするため、窓に使用するサッシ等はほとんどがアルミ製です。
木製建具と同じく、アルミ製の建具を専門として図面作成を受注している業者もありますので、こちらも一度お調べください。
3. 建具図面作成における費用

3‐1 単品図面
個別に室内扉や室外扉、サッシ等の図面作成を依頼する場合、おおよそ5~10万円程度の費用がかかります。
一見、高いように感じますが、建具図面のみを外注する場合、スペースを考慮し、その建物に見合った種類の建具を検討する必要がありますので、設計士や建築士の負担は大きくなり、相場も高くなります。
3‐2 建具表
建具表は、その建物の建具に沿ってメーカーの既製品をどのように当てはめるのかを一覧表にしたものになります。
相場としては、1枚あたりの単価は1~3万円程度です。
もちろん、あくまで相場ですので、単品図面と建具表の両方を同時に外注した場合は、費用を抑えられることもあります。
また、オーダーメイドの場合は、現地調査等も必要となることから、1枚あたりの単価も高くなる傾向があります。
3‐3 ビルや店舗
ビルや店舗等、大型の施設の場合、単品図面も建具表も相場の倍以上かかることが一般的です。
特にビル等は既製品では有効スペースが限られるため、オーダーメイドの図面作成を依頼することがほとんどです。
その結果、設計士や建築士の負担は住宅用の建具図面を作成する何倍もの労力が必要となるため、単品図面の作成で30万円以上、建具表も1枚あたり10万円以上の費用がかかることがあります。
4. 建具図面作成における納期

4‐1 既製品
既製品を使用した場合、居住用の住宅の場合、長く見積もっても1~2か月程度で十分な図面が納品されます。
この理由として、設計士や建築士の経験によっては、すでに他の建物で使用した図面を流用し、依頼を受けた建物の構造や面積に応じて既製品を当て込むだけのことが多く、作業そのものが単純なためです。
スピードを求める場合は、1か月を切る納期も設定できますので、依頼前にはその業者の過去の経験等をヒアリングしても良いでしょう。
4‐2 オーダーメイド
オーダーメイドの場合、建物の面積にもよりますが、長く見積もると3~4か月程度かかる場合があります。
オーダーメイドの場合、既製品を当て込むことができず、一つひとつの建具に関して、その建物に沿った図面の作成が必要となるからです。
また、大型の商業施設の場合、3~4か月では難しく1年近くかけて、その建物に合った建具の種類やメーカー等の選定をする必要があるため、かなりの時間を要します。
5. 建具図面作成の対応範囲

5‐1 平面図や立面図、詳細図
ここまでは、建具図面における建具の種類や費用、納期をご紹介しましたが、本編からは業者に依頼される際、重視しておく項目をご紹介します。
建具図面は平面図や立面図、詳細図等のことを指す場合があります。
しかし、これらの図面はあくまでも建具の寸法や種別、使用する金物の種別等の基本的な部分を表しており、現場での施工や建具の製作の詳細までは記載されていないことがほとんどです。
ただし、工事内訳書の中に建具の寸法や数量、使用予定の金物(蝶番等)が記載されていることもあり、平面図や立面図、詳細図と突合しながら現場では施工されることもあります。
この場合、図面以外の要素や条件が文字で表されていることが多く、施工者の負担が大きくなり、ミスを誘発する原因にもなります。
5‐2 施工図面、製作図面
一方、同じ建具図面と呼ばれるものに、施工図面や製作図面があります。
平面図や立面図、詳細図や工事内訳書は、建具の概要として寸法や種別、使用金物等を示すものになりますが、施工図面や製作図面は、設計図の内容に準じて現場での施工の際、施主の意図を明確に示し、施工者の負担を軽減することができるほか、建築確認申請等に使用できるよう完成させたものになります。
業者によっては、この施工図面や製作図面が対応範囲に含まれていない場合もあり、依頼される際は事前に十分な聞き取りが必要です。
仮に建具図面作成サービスを依頼する際、この施工図面や製作図面が対応範囲に含まれていない場合は、その業者はさらに外注をすることになるため、納期も長く設定することになり、また費用も格段に高くなります。
6.まとめ
いかがでしたか。
建具図面作成サービスの中にも、複数の選択肢があり、業者によっては対応可能な範囲が異なることをご理解いただけたと思います。
業者ごとのサービスを比較する場合、得意な分野や不得意な分野をヒアリングし、場合によっては相見積もりをする等、コストの削減に努める必要もあります。
また、費用だけではなく、納期にも十分な注意を払う必要があります。
建築は、納期が遅れる分、人件費やコストが増える傾向にあります。
それは、職人や重機、周辺環境との関係性によるものですが、当初予定していたスケジュールを大幅に超えることになると施主が困るだけではなく、設計者の監理を含む無駄な労力や経費の支出にもつながります。
特にオーダーメイドで依頼される場合は、事前に明確なスケジュールを立て、施主、設計者、施工者の3者が納得できるよう潤滑油となる設計図書が必要です。
そのためにも施主は、建具図面の重要性や依頼する業者のキャパシティを十分理解し、他社とのサービスの比較をすることをお勧めします。





