家具図面制作でよくある失敗5選と対策法|修正コストを抑えるコツ

皆さんは「家具図面」と聞かれて、どのような図面を思い浮かべますか。

既製品の家具を購入するのではなく、ご自身がこだわりを持ち、寸法や色、素材や設置場所との融合等、様々な条件のもと家具をオーダーする際に必要な図面です。

通常、専門の設計者にご自身のイメージを伝え、平面図や立面図、断面図等の制作を依頼します。

その平面図や立面図、断面図をもとに、制作される図面を施工図面や製作図面と呼び、設計者から家具の製作者へ詳細を伝えるための図面になります。

設計業者のなかには、この施工図面や製作図面の過程を経ず、平面図や立面図、断面図のみで家具の製作者へイメージを伝える場合もあります。

しかし、このような場合は、家具の製作者のスキルや経験に依存することが多く、施主のイメージと離れた完成品になることもあります。

このような失敗は、それぞれの段階で対策することにより防ぐことも可能です。

また、図面の修正を繰り返すたびにコストがかかる場合もありますので、今回は、よくある失敗5選と対策法、修正コストを抑えるコツをお伝えします。

1. 必要図面の種類の認識相違による失敗と対策法

1‐1  平面図や立面図、断面図等

家具図面の制作を依頼される際、図面の種類や制作範囲の相違が起こりがちです。

同じ図面と呼ばれるものですが、平面図や立面図、断面図や詳細図はあくまでも施主のイメージを図面にしたものであって、その家具の完成度を高めるための第一ステップになります。

業者によっては、これらの図面の制作のみを基本料金として提示していることもありますので、依頼前には認識の相違がないよう気をつけましょう。

1‐2 施工図面や製作図面

平面図や立面図、断面図等をもとに、家具の製作者へ詳細を伝えるための図面を施工図面や製作図面と呼びます。

こちらの図面には使用する素材の具体的なメーカーや品番、特殊な加工の必要性や内径と外径の差で生じる寸法等を記載しているため、家具の製作者は自身のスキルや経験値を最大限に生かすことができます。

基本料金として提示されている金額の内訳にこの図面の制作が含まれているか確認をしておきましょう。

2. 有効幅の相違による失敗と対策法

2‐1  家具の設置

図面で示した寸法どおりに家具が完成した場合でも、当初想定していた設置箇所に納まらないことがあります。

このような現象がしばしば起こる原因は、図面と現場の有効幅の相違があるからです。

わずか数ミリの相違により納まらないことも生じますので、設計者が図面を制作する前には必ず現場の調査が必要です。

基本料金内に設計者の出張旅費が含まれていない場合もありますので、依頼前には見積の内訳を確認しておきましょう。

2‐2  扉の開閉等

完成した家具が当初の予定通り設置できたとしても、次に扉や引き出し等の開閉に支障をきたすこともあります。

この原因として、やはり設計者が設計前に現場の調査をせず、空間的なイメージを持たないまま設計図を制作することが考えられます。

たとえ、設置予定のスペースに家具が納まったとしても、開閉部分が使用できなければ失敗に終わります。

このようなケースに陥らないよう、やはり事前に十分な現場調査が必要となります。

3. 家具図面内の使用素材や接合部における工法による失敗と対策法

3‐1  使用素材

施主の多くは、どのような素材の種類があるのか、また家具を設置する予定の部屋の環境に馴染む素材は何か、専門的な知識はほとんど持っておりません。

したがって、家具図面の制作を依頼される際は、過去の実績や経験値、取引メーカーを参考に設計業者を選ぶことも重要です。

ホームページで過去の実績が公開されていない場合は、依頼前にヒアリングを実施しましょう。

3‐2  接合部における工法

家具の接合部は、それほど重要な箇所ではないと考える方もおられますが、実は非常に重要な要素の一つです。

接合部の工法により、経年後、家具そのものの歪みが生じることもあるからです。

また、家具本体に数ミリから数十ミリのズレが生じると、扉や引き出しといった動作が必要なパーツも動きが悪くなることもあり、場合によっては動かなくなることもあります。

家具を大切に取り扱えるよう、素材や設置予定の箇所等を複合的に判断する必要がありますので、家具図面の制作において経験豊富な設計者に依頼することが重要です。

4. 家具図面制作における不正確な意匠伝達による失敗と対策法

4‐1  施主から設計者へ

施主と設計者の間にイメージの齟齬があると、家具の完成度に大きな影響を及ぼします。

設計の世界では、意匠伝達が非常に重要であると言われており、家具図面の制作を依頼する理由や目的、完成品のイメージを慎重に伝え、設計者に理解を深めてもらう必要があります。

この時点での失敗が最終的な家具製作の失敗につながりますので、理解しておきましょう。

4‐2  設計者から製作者へ

設計者から施工者への意匠伝達も同じです。

平面図や立面図、断面図のみで製作者へ伝えることも可能ですが、やはり詳細な図面を通し、施主のイメージを伝えることが必要です。

家具図面の制作を依頼される場合は、施工図面や製作図面も制作可能な業者を選定しましょう。

4‐3  施主と製作者

施主と製作者の間では、ほとんどコミュニケーションをとることがありません。

しかし、設計業者によっては、施主の細かな希望を叶えるため、製作者との間を取り持つ場合もあります。

施工過程を見ることにより、施主も安心感を持ち、製作者も自信を持って施工することができます。

大きな失敗につながらないためにも、少なくとも1~2回は製作途中の家具を見る機会があると良いでしょう。

5. 家具図面制作の修正回数にかかる費用による失敗と対策法

5‐1  基本料金内の修正回数

図面の修正回数が基本料金内で制限されているケースがあります。

これは、設計者の負担を軽減するために設けられているためですが、本来、施主の満足度を考えると回数の制限は相応しくありません。

家具図面の制作を依頼される場合、図面の修正回数に制限があるのか、修正範囲はどこまでを含むのか、といった内訳を確認しておく必要があります。

5‐2  オプション扱いの修正

図面の制作段階における修正対応に関して、オプション扱いの業者もあります。

基本料金内で制限されるよりもオプション扱いで施主の自由度が高くなることもありますので、どちらが良いかは個人の感覚です。

しかし、あまりにも高額なオプション費用を請求される場合は、注意が必要です。

業者選定に失敗しないためには、依頼前に基本料金の内訳を十分に理解しておきましょう。

6. 家具図面制作の修正コストを抑えるコツ

6‐1  明確な納期の提示

修正コストを抑えるために必要な要件として、明確な納期の提示があります。

家具の納期を伝えたうえで、施主が最初に確認できる図面の制作がいつまでなのか、また、修正依頼をした場合、どの程度の期間を設ける必要があるのか、といった時間的な要素がコストに影響を及ぼします。

修正コストを抑えるためには、家具本体の納期から逆算し、スケジュールを明示する業者を選定しましょう。

6‐2  正確な伝達

設計者との初回の打ち合わせの場で、正確な情報を伝えることができれば、修正コストは比較的抑えることができます。

また、修正範囲によっては、コストがかからないこともありますので、依頼する前のコミュニケーションや基本料金の内訳、業者の過去の実績等を十分に調査しておくことが必要です。

7. まとめ

今回は、家具図面制作でよくある失敗と対策法をご紹介しましたが、紹介した内容はごく一部です。

オーダー家具の依頼をされる際、設計業者との綿密なコミュニケーションが大きな失敗を防ぐことになります。

設計業者のなかには、図面制作におけるすべての段階をワンストップで引き受けることができる業者や一種類の図面に特化してサービスを提供する業者、他の業者が作成した平面図や立面図、断面図をもとに、施工図面や製作図面を制作する業者もあります。

事前にその業者の特徴や過去の実績、サービスの内容をホームページで調べておくことはもちろんですが、無料の事前相談等があれば、そちらを利用し、ご自身の不安点を少しでも払拭しておくことが成功につながります。

また、図面の修正を依頼する場合、高額な請求をされないために設計業者の見積内容を熟知しておくことも必要です。

オーダーされる家具の完成度が高くなるほど満足度も高まりますので、一度、業者のホームページを確認することをお勧めします。