家具図面を外注した案件から見えた失敗パターンと対策

家具図面には様々な種類があることは、これまでの記事でも紹介しておりますが、大きく分けて2種類あります。
1つ目の種類は、家具の概要を示した設計図や意匠図と呼ばれる図面です。
こちらの図面は、あくまでも概要を示すための図面であり、家具の製作者が全体をイメージして作業をすすめるうえで必要となるものです。

設計図や意匠図のみを基準とし、家具の製作を依頼すると施工管理を行うことが難しく、結果的には発注者のイメージとは異なった完成品になることがあります。

施工管理技術者等の職務(役割)については、国土交通省が参考資料として以下のとおり示しております。

https://www.mlit.go.jp/common/001130685.pdf

内容として示されていることは、監理技術者等の職務として、

  • 「施工計画の作成」
  • 「工程管理」
  • 「品質管理」
  • 「技術的指導」
  • 「その他(発注者等との協議・調整など)」

です。

2つ目の種類は、施工図や製作図と呼ばれるもので、設計図や意匠図とは大きく異なり、全体を示しつつ、その家具の詳細を示したものです。

施工図や製作図は、机上のみでつくられるものではなく、その家具を設置する場所や動線、扉の開閉部分や接合部分など細部に至るまでを示しており、現場と机上の誤差をなくすためには必須となります。

家具図面を外注される際、個人の設計士が数千円で請け負うこともありますが、このケースでは1つ目にあげた設計図や意匠図のみの場合がほとんどのため、設計士が現場に足を運ぶことはありません。

一方、施工図や製作図は、設計者が現場に足を運び、家具の製作者と意思疎通を図ることはもちろんのこと、発注者のイメージを図面に移し、齟齬を生まないよう徹底するため、数千円では請け負うことができません。

こちらは、1つ目に挙げた監理業務も含まれ、より完成度が高くなります。
失敗のパターンは、往々にしてこの価格の差から生じることが多いのも事実です。

そこで、今回は、家具図面を外注した案件から見えた失敗パターンとその対策について紹介したいと思います。

1.家具図面を外注する際の価格


家具図面を外注する際、最も重要な要素の一つがその価格です。
最近では、家具図面の代行を数千円で請け負う個人事業者や設計者がおられます。

しかし、数千円では正確な図面の作成を期待することは難しいかと思われます。
その理由は、前段でも申し上げたとおり、一言で「家具図面」とは表現できますが、施工図や製作図を指していないからです。

施工図や製作図にはその家具に必要な部材の種類やメーカー、木製の家具の場合、季節によって異なる木の伸縮などを考慮して、ミリ単位の指定がありますが、設計図や意匠図では、そこまで細かな指定をしません。

最初は安く請け負ってもらえると思い外注しても、結果的には自分のイメージとは大きく離れた完成品になったり、追加の費用が必要となります。

そこで、家具図面を外注する場合は、見積の内容を把握しておくことが対策と言えます。

1-1 低価格の失敗パターンと対策

先ほど来から、お伝えしているとおり、やはり家具図面を低価格で受注する業者や個人には、それなりの落とし穴があります。

低価格で外注できたとしても、詳細な家具図面が作成されていないため、発注者ご自身のイメージとは異なった完成品となります。

「安物買いの銭失い」ではせっかく外注しても、完成品が予想をはるかに下回る出来となり、結果的に損をすることになります。

このような失敗を防ぐための対策として、一番はじめに行う意識のすり合わせが重要です。

発注者ご自身が、どのような図面を求めているのか、監理業務も含め、図面の修正は何度まで可能なのか。

この業界では、「手戻り」といった言葉がありますが、無駄な「やり直し」を避けるためには、最低限の図面だけで安心せず、より詳細な図面の作成を請け負うことのできる業者を選定しましょう。

1-2 高価格の失敗パターンと対策

低価格には当然、落とし穴がありますが、実は高価格にも同じような落とし穴があります。

それは、当初の見積段階で無駄なプロセスが含まれていることがあるからです。

発注者ご自身が求めていないレベルの高さの図面を作成する業者もあります。

このような事態を招く原因の一つに、大手の設計事務所はある程度決められた図面の作成プロセスを持っており、発注者の意思に関係なく自社のフォーマットを用いて家具図面を作成することがあるからです。

しかし、家具図面の大きな特徴は、既製品の家具では補うことのできない独自性を出すことです。

大きな設計事務所のフォーマットどおりに、施工プロセスを踏むと、家具を製作する施工者もマンネリ化し、独自性を出すことにこだわる必要がなくなります。

このような失敗を防ぐためには、やはり、

  • 「施工計画の作成」
  • 「工程管理」
  • 「品質管理」
  • 「技術的指導」
  • 「その他(発注者等との協議・調整など)」

が鍵となります。

発注者の意図が見積の内訳にどのように反映されており、発注者自身が不要と考える工程や仕様を省くことができるか、そのスキルを身につけておくことが対策の一つです。

2.CADの種類


家具図面を作成するCADソフトは外注先によって大きく異なることが特徴です。
その理由は、図面の種類の差異だけではなく、外注先の実績や経験、スキルや社員数といった要素がそれぞれ異なるからです。

また、外注先によって、得意とする図面も異なり、図面を作成するためのCADの種類などによっては、請け負うことができない業者もあります。

世界共通で汎用性が高いと考えられているCADはAutoCADと呼ばれるものですが、施工レベルでは、フリーソフトのJw_cadを使用している方が多々あります。

AutoCADでは3D図面の作成も可能なため、外注先がどのようなCADを得意とし、家具の製作者と密に連携をとることができるのかを事前に調べておきましょう。

2-1 AutoCADでの失敗パターンと対策

AutoCADを使用できる外注先はオールマイティに複数の種類の図面を作成できる一方、毎月、非常に高額な利用料を支払っております。

そのため、図面を外注する際は、必然的にその利用料も受注価格に転嫁されております。

そのため、発注者が外注する図面の種類によっては非常に高額になり、かつ不要な情報まで指示されていることがあります。

せっかくの技術ですが、無駄な経費の節約対策として、発注者ご自身がどの程度の図面を求めているのか、見積段階でしっかり事前打ち合わせを行っておきましょう。

2-2 Jw_cadでの失敗パターンと対策

AutoCADとは真反対にあるJw_cadは、無料で利用できるフリーソフトであることがメリットです。

国内での需要は圧倒的に多いことが特徴ですが、その一方、2D図面専用のソフトのため、3D図面の作成ができないことがデメリットの一つです。

また、AutoCADに比べ自動化できるメニューも少なく、設計者の時間を大幅に削ることにもつながります。

Jw_cadを基本とした図面の作成依頼の場合、これまでの実績や納期、家具の製作者との随時調整等に支障をきたすことがないか、確認しておきましょう。

3.納期


こちらは、設計費用やCADといった内容とは少し変わりますが、家具図面を外注するうえでは、とても重要な要素になります。

安価な金額で請け負い、かつ、発注者の求める図面の作成が可能であったとしても、希望の納期に間に合わなければ、家具の製作そのものの納品が遅れることになります。

設計者のこだわりや家具の製作者のこだわりも非常に大切なことですが、家具をオーダーメイドされるには理由があります。

ご自宅の新築やリフォーム、店舗の新装開店や改装など、その理由は様々ですが、納品が遅れては意味がありません。

このような失敗につながらないよう、施工計画をしっかり立てられる設計者の選定が最大の対策となります。

4.まとめ

今回の記事では、家具図面を外注した案件から見えた失敗パターンと対策を紹介しました。

外注先もプロなので、そこまで大きな失敗が起こることはないだろうと思いがちですが、案外、外注先も簡単に考えていることが多く、これらの失敗は結果的に納期に大きな影響を及ぼすことにもつながります。

納期に遅れが発生すると、家具の製作者に支払う費用も大幅に増加することは言うまでもありません。

今回は少し専門的な言葉も使用しながら紹介しましたが、オリジナル家具をつくられることは一生に1回あるかないかの機会です。

せっかく高額な支払いをし、発注者ご自身の自宅や店舗のためにオリジナル家具を製作されても、当初のイメージどおりの完成品につながることがなければ何の意味もありません。

ほかにも複数の失敗パターンはありますが、まずは、ご自身がどのような図面の作成を希望されているのか、そして、どのような製作者に家具の依頼をされるのか、依頼前には必ず詳細な打ち合わせを行うことが必要です。

そして、設計者との打ち合わせを円滑にすすめるためには、やはりある程度の知識を持っておくことも必要です。

また、何より外注先として選ばれる設計士の、これまでの実績や提案する内容をしっかり発注者ご自身が消化し、よりイメージに近い家具につながることが大切です。

低価格にも高価格にも落とし穴があります。

これらすべてをクリアすることは、とても難しいことかもしれませんが、ご自身の満足度の向上のためには、事前のリサーチを十分行っておきましょう。